
「デフノバ」は、社会からデフを切り離し、デフだけが集まる場ではありません。私たちの目指すのは、デフがそこにいることを周囲の人々が理解し、共に支え合う場を創ることです。そして「世界中のどの場所も『デフノバ』に」という思いを抱きながら活動を進めています。
デフが生きる世界と聴者の世界は異なります。だからこそ、当事者が本当に必要と感じる場を彼ら自身の視点で共に作ることが何よりも重要だと考えています。この活動の中で、多くの保護者の方々が「もっと早くきこえない子どもたちの現状を知っていれば」と涙を流してきた姿を見てきました。このような悔しさや無力感を少しでも減らし、子どもたちとその家族に寄り添う場を提供したい。それが私の切なる願いです。
デフノバの理念には、私自身も深く共感しています。「きこえない当事者が生み出す場」であること、そして「そこには必ずきこえる人の力も必要であること」。お互いが尊重し合える関係性を大切にし、常にきこえない・きこえにくい子どもたちの未来を第一に考える姿勢が求められています。
言語聴覚士として12年間、小児発達支援に携わってきた中で、7年間は聴覚障害を持つ子どもたちと向き合い、15年前から手話の学習も続けています。それでも、聴者である私がデフに関する事業を始めることには大きな迷いもありました。しかし、デフノバが目指す「デフがそこにいることを周囲の人間が理解する場」であれば、私自身もここに存在する意味があると考えました。
これからも、きこえない・きこえにくい人たちの声に耳を傾け、その思いを形にするために全力を尽くします。一般社団法人デフノバの活動を通して、誰もが尊重される社会の実現に向け、一歩一歩、着実に前進していくことを誓います。
代表理事 岡松 有香